
こういった疑問にお答えしていきます。
本記事の信憑性
理学療法士として、認知症やせん妄のある患者さんと毎日関わっています。
認知症は曖昧なところもあるため、科学的な根拠がない情報や間違った情報が出てきがちです。
認知症の予防には根拠があることに取り組む必要があります。
日々患者さんと関わり、認知症についても普段から勉強しているので、根拠のある内容でまとめていきますね。
認知症になりやすい原因について知りたい方は下記の記事をご参照ください。
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認知症の原因やリスクを知って予防する【本人・家族の健康のために】
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認知症患者はどんどん増加しており、一度かかると進行は抑えることができても治すことはできません。
そのため予防や進行を止めることが大切です。
今回は、どういった方法で認知症を予防できるのかを紹介します。
目次
認知症を予防するには
認知症を予防するには下記の6つに取り組みましょう。
一つずつご紹介していきます。
①予防効果のある栄養素を摂る
認知症予防や老化防止のため積極的に摂取すべき食材をおすすめしていきます。
おすすめ
- 青魚
- 野菜・果物
- 赤ワイン・緑茶・カカオ
- 乳製品
- 大豆
- オリーブオイル
- 香辛料
一つずつご紹介していきます。
青魚
サバなどの青魚には「DHA」や「EPA」という必須脂肪酸が含まれます。
これは、認知症の原因物質であるアミロイドの沈着を防止すると言われています。
脳機能を改善するため記憶力や判断力の向上、認知症予防効果が期待できます。
メモ
他にも動脈硬化を抑える作用や中性脂肪の燃焼促進、悪玉コレステロールを抑えて血流を良くする効果があります。
中性脂肪を減らすのでダイエットや生活習慣病改善のためにも重要です。
野菜・果物
これらはビタミンやミネラル、食物繊維、ポリフェノールを含みます。
効果
- ビタミンC:抗酸化作用
- ビタミンB:神経の働きを良くする
- ポリフェノール:抗酸化作用、抗炎症作用、老化予防
ビタミンやミネラルは、食事から摂取した栄養素をしっかり体に取り込み、正常な脳活動を促してくれます。
食物繊維は血糖値の急激な上昇を抑え、認知症の原因となる糖尿病の予防効果があります。
老化を抑えてくれたり自律神経を整えて体の不調も和らげてくれます。
赤ワイン・緑茶・カカオ
緑茶や赤ワイン、カカオなどには抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富に含まれます。
また、緑茶に含まれるカテキンにも抗酸化作用があります。
抗酸化作用は、体の老化を防ぎ、認知症の原因物質(アミロイドβ)の蓄積を抑えると知られています。
アンチエイジング効果(若々しくなる)があるので、脳だけでなく身体機能の維持にも働くためおすすめです。
乳製品
牛乳を毎日飲む人は、認知症リスクが飲まない高齢者の半分であると言われています。
牛乳はタンパク質・脂質など栄養素がしっかり摂れることやマグネシウムとカルシウムが認知機能の低下を抑えるという研究もあります。
牛乳は手軽な完全栄養食とも言われているくらいなので、ご飯があまり食べれない方は少しでも摂ってみましょう。
大豆
大豆製品は神経伝達物質を生み出す成分を含みます。
これは視覚・聴覚機能の情報伝達をスムーズにしてくれる物質で、不足すると脳への刺激が減り、記憶力の低下を引き起こすとされています。
オリーブオイル
青魚と同様に良質な脂肪酸が含まれています。
その中にはオレイン酸が含まれ、血中コレステロールや中性脂肪をコントロールする効果があります。
認知症の原因となる動脈硬化や脳梗塞を予防する効果があります。
香辛料
胡椒や唐辛子、ターメリック、生姜などの香辛料は、認知症の原因となるアミロイドβの蓄積を抑制する成分があります。
食欲増進効果もあるため、より多くの栄養素を摂取することができることもメリットです。
②糖分・カロリーを控えた食事
過剰な糖分は血管や組織を傷つけてしまい、老化を促進します。
肥満や糖尿病、高血圧など生活習慣病の原因になり、認知症のリスクを大幅に増加します。
糖尿病や高血圧がある場合、認知症になるリスクが2〜10 倍以上も上がります。
うまく対応する方法としては血糖値の急激な上昇を避けることが重要です。
対応
- 砂糖が多いものを控える
- 野菜→おかず→炭水化物の順で食べる
- 食後に筋トレをする
- 炭水化物を減らして良質な脂質を摂る
これらのことがおすすめです。
野菜など食物繊維の多いものから食べると血糖値の急激な上昇を抑えられます。
また、食後に筋トレをすることで食事から摂った糖質を消費できます。
筋肉が増えると消費できる糖質量やカロリーが増加し、生活習慣病を予防できます。
炭水化物で減らしたカロリーは、良質な脂質を摂取して補いましょう。
③バランスの良い食事
認知症予防には、バランスの良い食事が基本になります。


タンパク質・脂質・炭水化物の三大栄養素やビタミン・ミネラルなどをバランスよく摂ることが重要です。
他にも、色々な食材を食べると良いです。
認知機能と色々な食品摂取は関連性があると言われています。
参考
色々な食品を食べているグループとほとんど変化がなく多様性が少ないグループでは約40%も認知機能が低下しやすかったという研究結果があります。
色々な食材を使って料理したり、献立を考えたり、豊富や栄養素の摂取が認知機能に効果的だったのではないかと考察されています。
毎回同じものでなく一品増やしたり、色々なものを考えて食べるようにしましょう。
④適度な運動を行う
認知症の原因となる生活習慣病の予防として運動を行いましょう。
最も行いやすいのは有酸素運動、つまりウォーキングですね。
参考
ウォーキングと認知症の関連性について研究が行われており、「よく歩くことで認知症予防になり死亡率も減少する」という報告があります。
歩く時間が長い人ほど認知症になりにくかったという研究結果です。
内容を詳しく説明します。
歩行時間が1日30分未満のグループと比較して1時間以上のグループでは、認知症になった人の割合が約30%も少なかったと報告されています。
30〜1時間未満の群でも30分未満の群と比較して、認知症になった人は約20%少ないとされ、歩行時間が長いほど認知症を発症しにくいと言われています。


自分のペースでなるべく長く、よく歩くようにしてみましょう。
なぜよく歩くと認知症になりにくいのか
認知症の方は、アセチルコリンという脳の情報や刺激に対して働く重要な神経伝達物質が減少することがわかっています。
大脳や記憶に重要な海馬において、脳血流が低下することで脳が正常に機能できていない状態です。
参考研究
歩行を行うと血流がよくなり、海馬のアセチルコリンが増えます。これは年齢に関係なく同様の結果が報告されています。
頑張りすぎると血圧が上昇するため、高齢者は無理なく行なうのが良いとされています。
血圧が上がりすぎない範囲で良く歩くと年齢に関係なく脳内の血流を増加させ、アセチルコリンの量も増えるということです。
結果、認知症になりにくくなるので、無理なく適度な範囲で行うようにしましょう。
⑤血圧管理、肥満の防止
糖尿病や高血圧・高脂血症に代表される生活習慣病は、認知症発症リスクを高めると言われています。
生活習慣病は動脈硬化や脳梗塞などの原因となり、脳血管性認知症のリスクも高めます。
参考
糖尿病患者は健常者の2倍、高血圧がある方は正常な血圧の人よりも2倍から10倍も認知症のリスクが高かったという結果があります。
イギリスでは禁煙、減塩を行い生活習慣病の予防活動に取り組んだ結果、認知症の有病率が減少しました。
認知症予防のとして、食事・運動で「生活習慣病」を予防することが最も大事であることがこれらからもわかります。
⑥人との交流を持つ
海外の研究では友人が多い人や社会的に誰かとつながりがある人は、認知症発症リスクが70%も低下したと言われています。
デイサービスの利用や、地域住民との交流や活動の場に出ると良いです。
家族もなるべく帰省したり、テレビ電話をかけることで脳へ刺激を入れることもできます。
夢中になれる趣味や時間を作ることで認知症予防効果があるとも言われています。
睡眠との関連
毎日30分程度の昼寝は認知症予防に効果的だという報告があります。
リラックス効果やストレス解消、記憶の固定に有効的です。
1時間以上の昼寝は逆に、認知症のリスクを高めてしまうとされているので注意しましょう。
まとめ
今回は認知症予防のための方法をまとめました。
認知症は完全に治る病気でなく、進行を抑えることはできても治すことはできません。
なるべく早く見つけたり、予防することが重要です。
ぜひ今後のためにも本人・家族へ予防を促していきましょう。
では、ここまで読んでいただきありがとうございました。