
このような疑問にお答えします。
こんな方におすすめ
- 筋持久力、全身持久力をアップしたい
- 心拍数や運動強度から効率よく持久力をつけたい
- AT、RPE、最大酸素摂取量について知りたい
- 健康で若々しくいるために体力をつけたい
この記事の信憑性
理学療法士勤務。スポーツトレーナーとして運動指導を行なっています。
持久力をつけることで運動でのパフォーマンスアップとともに、疲れにくくなるので若々しい生活をおくることができます。
今回は持久力アップのための方法をご紹介します。
目次
持久力について
簡単にいうと体力やスタミナみたいなものです。
持久力は、筋持久力と全身持久力に分けられます。
それぞれ特徴があるので、一つずつ説明します。
筋持久力とは
まずは筋持久力について説明します。
部活や運動、スポーツでは、長距離を走ることと同時に筋肉を動かすことが求められます。
バスケットボール、テニス、野球のピッチャーのように、同じ動作を繰り返し要求される競技が多いです。
例
ピッチャーで球数が増えるごとにコントロールが効かなくなるのは、筋持久力の限界が原因と考えられます。
同じ動作を繰り返して筋肉が疲労し、運動の質が低下していくためです。
筋持久力とはこれらの要求される動作を何度も繰り返し行えるかという能力です。
100%全力の動きを10回行える場合、トレーニングでこれを20回行えるようになると、より発揮できるパフォーマンスが上がりますよね。
筋持久力を鍛えると今までへばっていたところでも、さらにパフォーマンスを発揮できるようになります。
筋持久力を鍛えるには
結論から言うと、筋持久力を鍛えるには最大筋力の30〜40%程度の運動を反復して行いましょう。
ベンチプレス100kgなら30〜40kgを複数回行うイメージです。
筋持久力を鍛えるようなトレーニングを行うと毛細血管が発達するため、筋肉への血流量が増加します。
すると、より多くの酸素を取り込むことができるため、運動を継続して行うためのエネルギーがより多く生み出されます。
疑問
筋肉を大きくして血流を良くすればいいのでは?と考える人もいるかもしれません。
筋肥大や最大筋力を高めるような運動では、短距離選手のような瞬発性メインの大きな力を、短時間のみ発揮できる白筋が鍛えられます。
体も重たくなるのでスポーツによっては邪魔になります。
また筋持久力では逆に赤筋という、瞬発性はありませんが血管が豊富で、長時間疲れにくい筋肉を鍛えることがメインになります。
白筋も大事ですが、繰り返し同じ動作を行うスポーツでは、この赤筋を鍛えることで長時間戦える体力がある体を作ることができます。
体は大きく・重たくしたくない人には筋持久力を高めるような運動がおすすめです。
筋肉が大きくなることで、パフォーマンスが低下するようなスポーツもあるので、競技によってトレーニングを考えましょう。
筋持久力を鍛えると、心肺機能も高まるので、疲れにくく若々しい体になります。
女性では特に筋トレをしたら大きくなってしまうし…と考える人も多いと思うので、おすすめです。
筋力は上がるのか?
筋持久力を高めるような運動では筋持久力アップがメインですが、筋力も徐々に向上するというデータもあります。
筋肥大目的、筋力向上目的のトレーニングには劣りますが、筋力アップも見込めると言われています。
それぞれの競技特性を考えてトレーニングに臨みましょう。
全身持久力とは
次に全身持久力について説明します。
全身持久力とは「スタミナ」や「粘り強さ」をイメージすると良いです。
長時間体を動かすことができる能力で、学生時代は長距離走などで評価していたと思います。
正しい数値は後述する最大酸素摂取量から求めることができます。
全身持久力で重要なのは酸素摂取能力です。
取り込んだ酸素を筋肉に運ぶ呼吸・循環器能力と、酸素を使ってエネルギーを作り出す筋肉の代謝能力によって決まります。
それらをまとめたものを全身持久力と言います。
全身持久力の鍛え方
主なトレーニング方法は3種類あります。
トレーニング法
- 持続トレーニング
- インターバルトレーニング
- レペティショントレーニング
一つずつ説明します。
持続トレーニング
強度の低いトレーニングで用います。
段階的に強度をあげたり、下げたりなどすることができます。
例:一定速度や自分の体力に合わせて行うランニングのようなイメージです。
インターバルトレーニング
強度の高い運動を、軽い運動や短い休息を入れながら行うトレーニングです。
メモ
20〜30秒間ダッシュして10秒ゆっくりランニングを行うような運動で、それを複数回繰り返します。
テニスやバスケ、サッカーなどのダッシュや急なスピードアップを繰り返すスポーツではかなり有効です。
例:ダッシュ→ジョギング→ダッシュなどのスプリント・インターバルトレーニングが有名です。
レペティショントレーニング
ほぼ全力で行う、かなり強度の高いトレーニングです。
強度が高いため、インターバルトレーニングより休憩を長めにとります。
時間設定や強度などは競技特性や体力、目的などに応じて設定します。
例:全力疾走→休憩→全力疾走という全力と休息を繰り返す運動を行います。
最大酸素摂取量
運動をすると、呼吸によって酸素が取り込まれて全身に運ばれ、エネルギーが作られます。
この1分間あたりに取り込める酸素の量を酸素摂取量といい、その最大値を最大酸素摂取量といいます。
1000mを全力で走った時などに酸素摂取量は最大になります。
ポイント
最大酸素摂取量が高いほど、活動時により多くの酸素を取り込んでエネルギーにできるので、激しい運動が可能になります。
この量が低いと、簡単な運動(階段など)でも息切れしてしまいます。
すると、活性酸素と言って体の老化や認知症などの原因になるものが増加しやすい状況になります。
最大酸素摂取量は年齢に比例し、加齢とともに下がりやすいとされ、若々しくいるためには重要になってきます。
メモ
全身持久力の高い人は低い人よりも、死亡リスクが2倍も低かったという研究結果があります。
測定方法
トレッドミルやエルゴメーターで限界まで行った時の呼吸量と呼気中の酸素・二酸化炭素から専門的な機械を用いて分析して求めます。
専用の機械が必要になるため、測定は難しいので私も実際に自分には計算したことはありません。
最大酸素摂取量の増やし方
上述した全身持久力を鍛えるような運動を行うことで増やすことが可能です。
健康目的での増やし方としては、有酸素運動を肩で息が切れない程度に行いましょう。
アスリートや運動をする人、部活生では負荷量を徐々に増やしていかないと、体が慣れてしまい増加してくれません。
負荷量を少しずつ上げて行きましょう。
下記のRPEを用いて運動指標にするといいです。
RPE(主観的作業強度)
有酸素運動を行う場合、後述するATに相当する心拍数や最大酸素摂取量を目安に行うことが望ましいですが、機械での測定が難しいです。
計算式で求めることもできるので、それは下記にて後述します。
RPEは器具を使わずにキツさの度合いを指標にする簡単なものであり、おすすめされています。
RPE(主観的作業強度) | |
20 | Max |
18〜19 | 非常にきつい |
16〜17 | かなりきつい |
14〜15 | きつ |
12〜13 | ややきつい |
10〜11 | 楽である |
8〜9 | かなり楽である |
7 | 非常に楽である |
6 | MIn(安静時) |
RPEの使い方
安静状態を6点とし、限界・最もきついを20点として点数化します。これを心拍数の1/10と考え、安静時6点=60回/分、20点なら200回/分の心拍数と考えます。
運動時のきつさを6〜20の点数にしましょう。
数値は精神的なものも影響してきますが、大まかな目安として、最高心拍数の計算などが面倒な人は手っ取り早くこれで十分です。
RPEが12〜13程度(ややきつい)範囲での運動を行うと健康維持や体力向上のための目安にもなります。
やみくもに運動するよりも、RPEで強度を設定としたり、心拍数の測定を併用するとより精度が高くなります。
AT(無酸素性代謝閾値)
全身の持久力の指標として、アスリートのみでなくリハビリの現場など多くの場で用いられています。
少なくても30分以上、余裕を持って運動できるかどうかという境目の運動強度になります。
測定方法
楽な運動から徐々に負荷を上げていく漸増負荷テストを用いて行います。
乳酸濃度を測定して徐々に負荷を上げていく段階で、ある強度から急激に血中乳酸濃度が上昇する地点があります。
この強度を超えると、有酸素エネルギーだけでなく無酸素性エネルギーも動員され始めるため、その境目をATと言います。
ATの強度は、RPEの12〜13程度(ややきつい)、心拍予備量の40〜60%程度に相当します。
トレーニングをしっかり行った選手は心肺機能が強化されて、酸素を取り入れる能力が高くなることでATが高くなります。
他に重要なものとして心拍予備量というものがあります。
心拍予備量
心拍予備量=最高心拍数ー安静時心拍数
最高心拍数=220ー年齢または(206.9ー年齢)×0.67
で求めることが可能です。
心拍予備量は良く運動やトレーニングの指標、強度設定として用いられます。
有酸素運動の強度設定、心拍数の設定を行いたい方
有酸素運動の目的をまず考えてみましょう。
目的
- ①体力アップや持久力の向上
- ②スポーツでの持久力向上(部活、アスリート)
- ③生活習慣病の改善や予防、健康のため
- ④休養としての運動
これらのの四つが考えられます。
①、②の場合、持久系の基礎トレーニングレベルならATレベルで、本格的に持久性アップを図りたい方はAT以上で行いましょう。
③の場合、ATかそれ以下が目安です。もし生活習慣病がある場合はまずは医師に相談してから行いましょう。
④の場合、AT以下の軽い強度、RPE:11以下(普通)で行います。
アクティブレスト
④のような休養日に、軽い有酸素運動やストレッチを休養日に行うことで血行を促進すると疲労回復が図れます。
運動の強度設定
まず、安静時心拍数を求めた後、上述した計算式を用いて心拍予備量を求めましょう。
RPE12〜13の時の心拍数や、心拍予備量の50%+安静時心拍数の値はATと同じくらいになると言われています。
エルゴメーターやトレッドミル、実際に走ってみて、RPE12〜13(ややきつい)に当てはまる強度を求めて、その際の心拍数を測定します。
心拍数−安静時心拍数を計算して、それを心拍予備量の50%+安静時心拍数の数値と比較してみましょう。
計算方法の例
RPE13の時に心拍数が130回だとします。
心拍予備量140の場合、その50%は70になります。
安静時心拍数60回の場合、60+70=130(AT)
このように、RPEとその数値一致したら、その値をAT値とみて基準にできます。
差が15回/分以内で、運動後速やかに回復するならそこが基準と考えても大丈夫です。
大まかなAT値がわかったら、それを基準に上述した目的別に合わせて有酸素運動やトレーニングを行いましょう。
面倒だという方はRPEと運動時の心拍数を用いるだけでも十分です。
心拍数のみ用いて、目標心拍数を求めて運動に使用することも可能です。
目標心拍数
目標心拍数=心拍予備量(最高心拍数ー安静時心拍数)×目標強度+安静時心拍数
このような式で求めることが可能です。
目標強度の指標としては下記を使用しましょう。
目標強度の指標
70%=スポーツ選手の持久力向上
65%=一般の人の持久力向上
60%=シェイプアップ
50%=健康維持
40%=アクティブレスト
これを用いて目標心拍数に用いることが可能です。
どちらもケータイの計算式一つで計算できますので、ぜひ試してみて効率よく運動に取り組んでみてください。
まとめ
今回は持久力について、持久力を高める方法、心拍数や運動強度から効率よく持久力をつける方法についてご紹介しました。
体力をつけることは、スポーツでパフォーマンスをあげるだけでなく、健康的で若々しくいるために重要です。
まずはRPEを取り入れるだけでも十分です、目的別に少しずつ取り組んでみましょう。
ここまで読んでいただきありがとうございました。